数年前は珍しい部類だったパーソナルシステムも随分と増えましたね。
増えると言っても一直線にではなく、増えては減ってまた増えては減ってといった繰り返しの中で徐々に定着してきているといった印象ですが。
最近パチスロのパーソナル環境で打つことも多いんですけど、やはりパーソナルにはメリットとデメリットがあるよなぁと実感しています。
パーソナルシステムとは?
パチンコやパチスロのパーソナルシステムは別名『各台計数機』とも言い、つまりはパチンコ玉やメダルを各台で個別に集計できるシステムの事です。
各台で今現在プレイヤーが保持している玉数やメダル数を数値として把握できるようになるものです。
これまではパチンコ玉であればドル箱を座席の後ろに積んで行くスタイル、パチスロであれば台上に備え付けられた棚にドル箱を並べて行くスタイルが一般的でしたが、パーソナルシステムを採用する事でそういった「物理的な出玉(メダル)」を出して置く必要がなくなります。
パーソナルシステムの良し悪し「ユーザー編」
ユーザー視点でパーソナルシステムのメリットやデメリットを挙げて行きましょう。
メリット
出玉の扱いが圧倒的に楽
特にパチンコに関して顕著ですが、玉下ろしスタイルに比べて出玉の扱いが圧倒的に楽です。
箱がいっぱいになって店員さんを呼んで箱を下ろしてもらう…こういった一連の流れが全く不要となりますからね。
パチスロの場合はそこまで大きなメリットとも感じませんが、それでも相対的に見れば楽だなとは感じます。
今の持ち玉(メダル)が正確に把握できる
パチンコにしろパチスロにしろ、これまでは持ち玉(メダル)の数は何となく把握できているだけで正確な数は分からない状態で打っていました。
しかしパーソナルシステムを活用すれば、今自分が何玉(メダル)を保持しているかが一目瞭然となるので、投資金額と見比べた時に今現在プラスなのかマイナスなのかといった事が一発で把握できるようになりました。
地味に嬉しいのは収支を記録している人の場合、獲得玉数を綺麗な数字でキッチリ締めくくる事で、収支表に記載する時に態々電卓で計算する必要がなくなるという事もありますね。
ジェットで流す手間がなくなる
混雑している時なんかは正にそうですが、交換しようと思っても店員さんが中々来ない、あるいはジェットが込み合っていて中々流せないなんて事も多いですよね。
パーソナルシステムが導入されれば、そんなことは全く関係なくなります。
パチンコなら下皿を開放すればかってに計数されるし、パチスロはサンド下部(大体はココですよね?)にある小型計数機に自分でメダルをどんどん入れて行けば、止めるときはカードを抜いて止めれば良いだけだし、それが会員カードであれば勝手に貯玉(貯メダル)扱いになるので、もぅ楽すぎる。
別積みしなくて良い
出玉があまりにも多くなると、置き場所の関係もあって別積み(席の後ろ以外の場所に出玉を移動させて目立つようにアピールされるアレ)を許可せざるを得ない状況が出来上がってしまいます。
自分は別積みしたくない派なので、そういった時は出ているのは嬉しいけどソワソワ…といった感触を抱えたまま打つことになるのが少しだけ苦手です(でも最近別積みなんて久しく…)。
そんな心配もパーソナルシステムなら不要。
たとえ10万発、2万枚ほどの出玉(メダル)を獲得したとしても、すべてをパーソナルシステムは受け入れてくれます。
通路が広々
主にパチンコのメリットですが、席の後ろにドル箱を積むスタイルの場合は通路が狭くなりがちです。
それだけではなく、間違って他人のドル箱を蹴飛ばしてしまって玉を拾ってごめんなさい…なんて経験のある人も多いんじゃないでしょうか。
パーソナルならそんな心配は無用、いちいち足元に気を付けながら歩く必要もありませんし、酷い時には通路がふさがって通れない…なんて事にも遭遇しません。
デメリット
離席時は注意
システムによってセキュリティー関係は結構変わると思いますが、離席する時はちゃんと現在の持ち玉(メダル)がはいったカードを持って席を離れる事を強く意識したい所です。
特に会員カードではないものは暗証番号のようなものもなく誰でも交換できてしまうと思うので、うっかり席を立っているスキにカードを盗まれた!といった事のないように注意したいですね。
これまではせいぜい現金を投入したカードの残り残高を盗まれる(最高で9000円分)程度の話でしたが、持ち玉をゴッソリ抜かれた場合、それこそ何万円、場合によってはさらに桁が上がることすら有り得ます。
こういったリスクを考えると、パーソナルシステム活用時はできるだけ会員カードを使うべきでしょう。
会員カードなら再プレイの時はシステム次第でしょうが、カウンターで景品交換をする際にはパスワードが必要となるでしょうから、最悪でもそこでストップを掛けられます。
出玉感を把握しづらい
自分が打っている分には関係ない話ですが、ぱっと見でそのホールの出玉感を把握できないというのは、人によってはデメリットと感じるかも知れませんね。
自分は表に出ている出玉感よりはデータサイトなどでの出玉実績を参考とするのであまり関係ありませんが、「たくさんドル箱が積んでるから自分も打ってみるか」といったキッカケが欲しい方にとってはパーソナルシステム化されたホール状況は少々殺風景に感じられるかも知れません。
ドヤ感を出しずらい?
後ろに沢山ドル箱を積んでいる状況に優越感を感じるのが快感だという人も少なくないのではないでしょうか。
沢山の箱を積んでいる状況自体に価値を見出している人にとっては、パーソナルシステムによってその出玉が不可視化されてしまうのは、満足度の低下につながっているんじゃないかと思われます。
パチンコでドル箱を20箱や30箱とか、パチスロでカチ盛り7箱8箱とか、やっぱり気持ちいいですよね。
パーソナルシステムの良し悪し「ホール編」
ホール視点(といってもあくまで想像ですが)で考えた場合のメリット・デメリットはこんな感じじゃないでしょうか。
メリット
従業員の負担軽減&削減が可能
特にパチンコに関するメリットですが、満杯になったドル箱下ろしやジェットに玉を流す作業がなくなるので、パチンコにかかる店員さんの労力は劇的に削減する事ができます。
パチスロにおいてはパーソナルシステムよりもメダルの自動補給システムの方が重要ですが、ジェット作業が無くなる点なんかはパチスロにおいても負担が減らせる部分ですね。
その結果、パチンコ・パチスロコーナー共に旧来に比べると人員を割く必要がなくなり、より少人数でホールを回す事が可能となります。
このメリットはホール側にとっては非常に大きく、パーソナルシステム導入の最たる要因と言えるでしょう。
デメリット
出玉感を演出しづらい
ユーザー側でも人によってはデメリットになり得る要素ですが、ホール側にとってはここが本丸。
パチンコにしろパチスロにしろ、ホールは利益を出したがっています(当たり前ですが)。
でもユーザーは当然勝ちたい訳で、そこの利害関係は明確に相反しています。
なのでホールはユーザーを「騙す」必要があり、その装置の最たるものが「出玉感」なわけです。
ユーザーに対して「こんなに出てますよー打てばアナタも沢山出るかもしれませんよー」とアピールしたいわけですね。
特にパチンコやパチスロをギャンブル的な印象で捉えている人にとっては、「一発当てたい」「間違って大勝ち出来たら良いな」といった願望を駆り立てるような演出があるのとないのとでは「打ちたい!」と思う気持ちの強さに雲泥の差が出るでしょう。
その誘導灯となるのが正に出玉感であり、それを見せるにはやはり「目に見える出玉」というものが一番有効であるというのは間違いありません。
ゴト対策に不安
パーソナルシステムを導入すると、玉やメダルの持ち込みに対する不安が大きくなるというのはあるでしょうね。
持ち込みだけではなく、それ以外のゴト行為(不正行為)に対するチェックも相対的に弱くなりがちでしょうから、ゴトが多い地域の店舗はそういった点も心配の種となっているでしょう。
ゴト対策としてホールスタッフが常時ぐるぐると巡回しているホールも多いですが、そこを強化しようとすると人件費の削減というメリットがそがれるし…という悩ましさもありそうです。
導入費用が結構かかる
パーソナルシステムを導入する費用がそこそこかかるというのはやはり大きな問題ですよね。
特に資金繰りに余裕のない中小ホールの場合は尚更でしょう。
たしかに向こう数年の人件費なんかを考慮すれば…とは思いつつ、お客さんの反応もどうなるか分からない(年配客が多い店なんかは特にここが心配でしょう)から踏ん切りがつかないという事も多そうです。
近隣店舗がパーソナルシステムで結果を出していたら、それに追従する形で導入しやすいというのはあるでしょうね。
パーソナルシステムの改善点
ユーザー側
基本的にユーザー目線で言えば良い事尽くめなパーソナルシステムなんですが、やはり気になるのはセキュリティー面ですね。
うっかり離席してしまった時に持ち玉を全て盗難される可能性があるというのは、ちょっと怖いなと感じます。
ただこれは会員カードを活用する事である程度は予防線を張る事もできる点ではありますね。
しかし問題となるのはやはり年配のお客さんがしっかりとこのシステムを活用してくれるかどうかだと思うので、それこそカードの抜き忘れを一番しやすい世代が確りとセキュアなシステムの恩恵を享受できるような、そういった形を実現していく事が一番の課題でしょう。
あとはパチスロに関しては現状のスタイル(サンド部分に設置された計数機に手でメダルを入れていく)が今後どう進化していくかですが、これは下皿の構造変更が伴わないと難しい問題だろうなぁとも思いますけどね。
セキュリティーを上げるのは簡単だけどそうすると利便性が…といった問題をどう解決するか、そこに注目しています。
あとはやはりドル箱を積み上げる快感に変わる「何か」を提供できるか…よりライトな客層を意識した場合にはこの点が肝となるでしょう。
ホール側
ホール側にとっては何よりも、もっと分かりやすい形で出玉感を演出するような仕組みが欲しいと思っている事でしょう。
これは先述のユーザー視点での話とも合致しますが、ドル箱を積み上げる喜びと同様の、あるいはそれ以上の高揚感をもたらすような見せ方が求められます。
言って見ればドル箱タワーこそが最も射幸心を煽るツールなわけですから、それ以上の何かがあればパーソナルシステムは軌道に乗るでしょうね。
せっかく出玉を出しているのにそれがユーザーに伝わらない、さらにはユーザーの「リアルな出玉感による充足感」が失われる事で稼働も落ちて…というのが、パーソナル導入→しばらくして箱下ろしへ戻すという流れを何度見た事か。
それこそ、立体映像とかそういった方向性も真面目に検討してもらいたいですね(すでにしているとは思いますが)。
リアルな出玉感をバーチャルに演出できるか否か、ホール側がパーソナル化に前進するためには必要不可欠な要素でしょう。
個人的には今すぐにもっと増えて欲しい
一人のユーザーとして自分が打つ上での利便性に関して率直な願望を述べるなら、今すぐにでも全店舗がパーソナルシステムに移行してもらいたいと思っています。
パチスロはまだ良いとして、パチンコなんてパーソナルシステムじゃないホールで打つのが億劫になってるぐらいですからね。
パチスロにしても態々メダルを流す時にジェット待ちしなくて良いだけでも随分と快適です。
パーソナルシステム万歳です。
とは言え、パーソナルシステム歓迎派のユーザーばかりではないのは事実ですし、なにより見栄えが…というユーザー・ホール双方の感想も非常に分かります。
それは言い換えれば「見栄えさえすればパーソナルシステムがスタンダードになる」という事も出来るわけで、本当にここ次第なんですよね。
見栄えしない点を横に置いておけば、パーソナルシステムはユーザー・ホール双方にとって非常にメリットが大きいものですから。
その他の課題としてはセキュリティー関係の問題でしょうけど、ここは今後どんどん改善されていくでしょうね。
特に持ち込み玉・メダルの問題なんかはメダル自体を各店舗で識別できる仕組みを作りさえすれば、割と簡単に撲滅できるんじゃないでしょうか?
これをあえてしていないとしたら、その理由はホールの常連さん(非プロ系のお客さん)ほどちょっとしたメダル持ち込みを頻繁に行っているという実態を許容している点にあるのかも知れませんが。