「沖ドキ!」を撤去しないホールの言い分、その根拠とは?【全日遊連と警察庁】

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1月11日を最後に全国的には撤去が進んだ「沖ドキ!」、一部の地域ではもう少しだけ伸びて1月19日まで設置しておける所もあった(入替スケジュールの都合上)ようですが、それが済んだらいよいよ完全に撤去…かと思いきや、そうはなっていないようです。

全日遊連(ホール組合)の方針では撤去しなければいけない状況のホールであっても、独自の判断で撤去を見送っているケースが実際に存在するようです。

なぜそういった事が可能なのか、そこに何かしら根拠はあるのかといった事を説明して行きましょう。

「沖ドキ!」の設置期限

沖ドキ!の設置期限は「基本的」には2021年1月11日までとされていました。

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この期日も段階的に延期されたものであり、当初は認定期限が切れる2020年5月~6月まで(地域によって差がある)、そこから新型コロナの影響で2020年末まで設置期限が延長され、さらには年始営業を鑑みて1月11日までは設置する事が可能といった流れになっていました。

どうやら正確な撤去期日に関しては新台入替との兼ね合いもあって地域差があるようで、最長で1月19日までは設置が可能となる地域もあるとの事です。

という事で少なくとも2021年1月20日の時点では、すべてのホールから「沖ドキ!」が撤去されているというのが基本的な認識でした。

撤去しないホールが存在

しかし実際には、沖ドキ!を撤去しないホールも存在しているようです。

1月12日~19日のタイミングにおいては、先述の通り入替スケジュールの関係で撤去されていない地域もあったわけですが、その時期を過ぎても撤去せずに営業を継続しているホールが実際に存在しています。

これはどういった事なのでしょうか?

撤去しないホールの根拠

撤去せずに設置し続けているホールが主張する根拠としては、新型コロナ感染拡大による影響を考慮した警察庁が昨年5月に改正した国家公安委員会規則によれば、本来の認定・検定期限からさらに1年間の延長が許されているというものがあります。

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警察庁は5月14日、国家公安委員会規則の一部を改正し、原則的に最大2021年1月末までとしていたパチンコ、パチスロ旧規則機における認定、検定の有効期限について1年間の延長を認めた。旧規則機の撤去期限が後ろ倒しとなったことで、ホール企業に今年、重くのしかかっていた機械入替の負担が一部、軽減されることとなる。

設置期限の延長が認められる遊技機は、改正規則の施行日以降に認定、検定が切れる旧規則機が対象。規則の改正を受け、業界団体側は今後、期限内に遊技機の計画的な入替を推進するための具体的な施策を決める予定だ。

https://web-greenbelt.jp/post-38216/

つまり警察庁が決めた大枠の規則としては、沖ドキ!は本来の認定期限である2020年5月~6月からさらに1年間延長した2021年5月~6月まではホールに設置しておけるという事になります。

ココだけ見ると、設置を継続するホール側の言い分にも正当性があるように思われますよね。

しかし、問題はそれほど簡単な事ではありません。

警察庁の1年延長は全日遊連の自主規制が前提

警察庁が認定・検定期限を1年延長した背景には、全日遊連側との密接な協議があったと言われています。

要するに警視庁が認定・検定期限の最大値を+1年する代わりに、全日遊連はその最大値をそのまま使うのではなく、もっと早く撤去を進めるように全国のホールを統率して撤去を順次実行するという話ですね。

全日遊連が行う撤去スケジュールの自主規制が正しく遂行される事を前提として、警察庁に国家公安委員会規則を改正してもらったという経緯であろうと推察されているのです。

となると、もし今回のようにホール側が独自の判断で全日遊連の定める撤去スケジュールを無視すると言ってしまうと、全日遊連側としては警察庁に対して明確な信義違反をしてしまうという状況に追い込まれると考えられています。

つまり警察庁側としては、「お前ら(全日遊連)がちゃんと早期撤去を進めるって言うから規則変更してやったのに、話が違うじゃねーか!」といった事になるんだろうと予想される訳ですね。

5号機みなし機設置よりは白に近い?

このケース、完全にみなし機となった5号機を設置し続けているようなケースと比較すれば、全日遊連の定めたスケジュールは無視している一方で警視庁が改正した国家公安委員会規則には反していないという点で、やや白い?とも言えます。

ただ先述のとおり、全日遊連の撤去スケジュールというのは警視庁側も支持している(というよりそれを前提として規則改正をしたと思われる)ので、「警察庁側からは許されている」というような理解も前提として間違っています。

とは言え法的な要件としては一応許されているし…という、なんとも微妙な話となっているわけですね。

全日遊連非加盟のホールに関しては筋が通る

全日遊連が設定した自主規制を破るという事ですから、組合加盟店がやるとなると先述のような見立てとならざるを得ませんが、全日遊連に加盟していないホールに関してはその限りではありません。

基本的に多くのホールが全日遊連に加盟しているのが現状のようですが、加盟していなければ営業が出来ないという事では必ずしも無いようです。

私が管理職になった15年くらい前は、非加盟だと所轄から「苛められる」のでデメリットの方が多いと言われていました。

~中略~

ですが、現時点では、非加盟の店舗には必ず何かマイナス影響が生じるとは言い難く、それが翻って「全日遊連の存在意義をどこに見出せば良いのか?」という、そもそもの疑問にも繋がる場面が多いようにも推察します。

取り締まり行政としては、質疑に応えるなり、指導するなり、監督官庁の役目を果たすに当たっては一枚岩の団体を相手にした方が効率が良いのでしょうが、私見では、非加盟である事のデメリットが少ないのであれば、全日遊連傘下から飛び出すホール企業が更に増えて来ても不思議ではないように思います。

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非加盟である事によるデメリットは実際に存在してはいるようですが、かといってそういったデメリットが確実に起こるとも言い難い面があるようです。

多くのホールが加盟している事を考えれば、それでも加盟しておいた方が良いと判断されるような状況ではあるのでしょうが、ひょっとしたら実際的な問題よりも慣習的な理由で加盟し続けているようなケースも多いのかも知れませんね。

設置店舗があったら・・・

沖ドキ!ファンとしては少しでも長く打ちたいでしょうし、ホール側としても沖ドキ!のような人気機種は少しでも長く設置したい・・・そういった思いがあるのは間違いありません。

とは言え、ルールを破ったもの勝ちのような状況を作ってしまって良いのか?という議論もあるわけで、全日遊連の通達に正しく従ったホールがバカを見るような状況が成立するのも考え物です。

ただしこの全日遊連に加盟していないホールに関しては、その方針に従う必要はないというのは筋の通った話ではありますので、そういったホールの方針に関しては尊重したいと思います。

自分が言える事としては、とりあえず身近に設置店舗を見つけた沖ドキ!ファンの方で、「やっぱり沖ドキ!が打ちたい!」との思いが強い方に関しては、コッソリと楽しみ続けるのが吉・・・といった所でしょうか。