最近、どうやら中々にビッグなニュースがパチンコ業界を駆け抜けていたようです。
それは「高射幸性機種の撤去スケジュールが撤廃された」という話。
これまでも別の記事で色々と語って来た高射幸性機種(5号機で過去に2万枚以上でた実績のある機種、バジリスク絆やハーデス、ミリオンゴッド凱旋など)の段階的撤去に関する話が無くなったという事です。
それが一体どういう事なのか、詳しく説明して行きましょう。
高射幸性5号機パチスロの撤去スケジュールが消滅
自分の情報元はパチマガスロマガ内のコラム「サイコロ店長のスロ専奮闘記」。
このコラムは新機種のホールデータなどを公開してくれたりするので一般ユーザー的には情報源としても貴重であり、サイコロ店長の文章にも趣があるのでパチマガスロマガの中でも楽しみにしているコラムの一つです。
そんなコラムで冒頭でも触れた高射幸性機種の撤去に関して重要な通達が全日遊連(ホールが加盟する団体)からあった事が明かされていました。
全日本遊戯事業協同組合連合会(全日遊連)が実質的に「高射幸性遊技機設置比率の自主規制を放棄する」という一報を受けたのは、先週金曜の夜。一体何が起こったんだよ!
ざっくり解説すると、全日遊連が自ら提唱していた「高射幸機の段階的撤去要請計画」を反故にするというもの。現在の状況を鑑みて「現実的ではない」という判断を下したんだろうか。
段階的な撤去を進めていたものの、現状は高射幸性機種の代わりになる6号機が不足していると判断した結果であるとの事。
そもそも高射幸性機種とは?という疑問に関しては、以前書いた記事をお読み頂けると幸いです。
[caption id="attachment_3893" align="aligncenter" width="595"] (C)山田風太郎・せがわまさき・講談社/GONZO, (C)UNIVERSAL ENTERTAINMENT[/ca[…]
高射幸性パチスロ機(回胴式遊技機)とは?
ダイコク電機が運用するパチンコホール営業の全国データを集計したデータベースである『DK-SIS』にて、過去に一日で2万枚以上の差玉が確認された機種が『高射幸性スロット機(回胴式遊技機)』と定義されています。
機種の一覧はこの記事へ飛んで頂ければ見る事ができますが、要するに「5.5号機より前のAT・ART機の多く」が該当すると思ってもらって大丈夫です。
これらの機種は著しく射幸心を煽るとの事で、ホールから段階的に撤去を進めて行こうという事が過去に決定されました。
段階的撤去のスケジュールは以下の通り
2019年1月末時点で設置台数の15%以下(このスケジュールは延期されました)
2020年1月末時点で設置台数の5%以下
2021年1月末時点で完全撤去
元々は2018年1月末までに30%以下という所から始まりこれは実現されました。その後2019年1月末までに設置台数の15%以下まで高射幸性機種の比率を下げる事を予定していたのですが、当時は(まともに稼働しそうな)代替機種不足という事でこれを延期(30%以下のまま)したのですが、この後に予定されていた5%以下、そして完全撤去のスケジュールを事実上放棄したようです。
まぁ今年の1月末のスケジュールが延期された段階で「これ残りのものも何だかんだ言って実行されないんじゃ」と思った人も多かったんじゃないかと思いますが、まさにそうなった模様。
今回の「実質的な放棄」というのが、設置比率に対する自主規制すべての廃止なのか、あるいは今後のスケジュールを放棄するするだけなのかがサイコロ店長のコラムだけだと少々分かりにくかったので調べて見たところ、どうやら自主規制全体の撤廃という話ではなく、「15%以下というスケジュールは続けて延期、さらには今後新たなスケジュールを設定する予定はない」という事で、要するに「30%以下という設置比率のまま高射幸性機種が認定切れにより撤去されていくのを待つ」というのが全日遊連の方針であると言えそうです。
バジリスク絆やハーデスを撤去しなくてよい?
高射幸性機種の撤去スケジュールが放棄されたということは、『バジリスク絆』や『ハーデス』を撤去せずに済むのか!と喜んだ方がいらっしゃったら申し訳ない。
残念ながらそれらの機種が年内で姿を消す事実には何の影響もない話なのです。
年内に『バジリスク絆』や『ハーデス』を撤去するのは「認定期間が満了して『みなし機』となるため」であって、先ほどの設置比率削減問題とは別の話なんです。
パチンコやパチスロにおいて新機種をホールに導入する上で必ず通る流れがあります。 それはざっくり説明すると、『保通協での型式試験』→『都道府県別の公安委員会での検定』→『ホール設置時の警察検査』です。 『ホール設置時の警察[…]
今回話題になっている「高射幸性機種の段階的撤去スケジュールの実質的放棄」とはつまり、「射幸性の高い機種の店内比率を〇〇%以下にして下さい。本来まだ設置しておける(検定・認定期間が残っている)機種であっても〇〇%以下にするために撤去して下さい」という話が無くなったという事です(正確には30%以下という要件は依然生きていると思われますが)。
なので、そもそも検定切れ・認定切れした5号機を『みなし機』として設置しておく事自体が許可されていない(地域によってはノーマルタイプのみ経過措置として許されているようですが)ので、その点を理由とした撤去は覆らないのです。
今回の話で影響があるのは、高射幸性機種のうち2020年の2月以降に認定が切れる機種達です。
代表的な所を挙げると・・・
- ミリオンゴッド~神々の凱旋~
- 押忍!サラリーマン番長
- パチスロ黄門ちゃま 喝
このへんの機種が該当しますね。
こちらの記事で、検定日が2014/2月以降になっているものが今回の話に関係する機種達となります。
[caption id="attachment_3893" align="aligncenter" width="595"] (C)山田風太郎・せがわまさき・講談社/GONZO, (C)UNIVERSAL ENTERTAINMENT[/ca[…]
今後に与える影響
年内に相当数の5号機(特に初代まどマギ・バジリスク絆・ハーデス・モンハン月下)を撤去しなければならないのは認定切れという理由からなので、今回の話とは関係なく避けては通れません。
しかしその後の話となると、この自主規制が実質的に放棄された事によってホールが取れる戦略の幅が広がったのは確かでしょう。
例えば、認定期間の残っている高射幸性5号機を倉庫などで大量に抱えているホール(法人)があった場合、それらを一気に再導入するような流れも現実的に起こるのではないかと思われる。
高射幸性機種に対する段階的撤去スケジュールの実質的放棄が、「30%以下という要件は生きたまま、それ以上の要請はしない」という事であると解釈するなら、裏を返せば「全体の30%までなら高射幸性機種を再設置しても良い」とも言えます。
ただしそもそもこの自主規制は、高射幸性機種を警察から問題視されている事に対する自主規制であったので、いきなりドカンと増やすような事をしたら全日遊連から厳しい注意を受ける事になる可能性は高いのでしょうけどね。
とは言え全てのホールが足並みをそろえる訳ではないのでしょうから、高射幸性5号機をウリにするホールも少なからず登場しそうな気はしますが。
個人的には先ほど今回の話に関係する代表的な機種として挙げた機種の他にも、いくつか今後の動向が気になる機種があります。
- やじきた道中記乙
- パチスロ アラジン AII
- ゴッドイーター
- 戦国コレクション2
- パチスロ 修羅の刻
- スーパービンゴネオ
- シンデレラブレイド2
この辺の機種は再設置が増えそうな予感。
認定機種は売買ができない(売買後にホールで稼働させられない)ので、ホールの倉庫に保管してあるようなケースじゃないと導入したくてもできないんですが、持ち玉のあるホールにとってはチャンスが訪れているとも言えるんじゃないかと。
特にゴッドイーターはポストモンハン月下として最適ですし、戦国コレクション2もバジリスク絆やハーデスが抜けて手薄になった「一撃の夢がある台」として割と良い感じに稼働しそうな気がしますけどね。
4号機末期の、とりあえず4号機というだけで何となく高稼働していたような雰囲気の中で、これらの機種を打つ日も遠くないのかも知れません。