
6号機時代へ完全移行してから様々な台が導入されてきました。
その中でも「押忍!番長ZERO」や「沖ドキ!DUO」あたりは一定の稼働を得られています。
ただ全体的には盛り上がりに欠ける、そんな認識をしている人はユーザー側にしろホール側にしろ多いのではないかと思われます。
そんな若干の閉塞感を感じるパチスロ事情の中で登場した一台が「パチスロこの素晴らしい世界に祝福を!」なんですが、これがなかなか良いのですよ。
「この素晴らしい世界に祝福を!」とは?
「この素晴らしい世界に祝福を!」(以下、このすば)という作品は、小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿され、後に角川スニーカー文庫にて書籍化されたライトノベル、およびそれを原作としたアニメ等のメディアミックス作品です。
パチスロの版権元はアニメ版権なので、直接の原作はアニメこのすばという事になります。
アニメは1期と2期、そして劇場版が作られています。
アニメに疎い方は分からないかと思いますが、パチスロになっているアニメ版権の中でもそれなりに人気のある部類のアニメです。
物凄くザックリ言えば、「まどマギ」ほどではないけど「これはゾンビですか?」よりは人気があるという感じ・・・あまり分かりやすくはないかも知れませんが、5段階評価で言えば4ぐらいの人気はある作品といった感じですね。
同じ異世界モノという視点で言えば、リゼロとの比較でどちらの方が人気が高いかは非常に微妙な所です。
カドカワ的な熱量のかけ方で言えばリゼロの方が売り出し時点から本命だった作品という感じですが、このすばは言ってしまえば前段階の期待度は然程高くなかったもののアニメ1期で人気がグッと伸びて、結果的には本命のリゼロと肩を並べるぐらいの人気作へと成長したという印象です。
(売り手側の認識から言えば)エリートの「リゼロ」と雑草の「このすば」というような色分けも出来るかも知れません。
あとファン層がやや異なり、リゼロは恐らく15歳~30歳ぐらいの世代がピンポイントで熱量の高い世代で、そのピークの高さはこのすばよりも高いような印象があります。
一方のこのすばは、ファン層はもう少しすそ野が広く、代わりにピークの高さはリゼロには劣るような、そういった年齢分布を見せる事が予想できる感じでしょうか。
そういった意味では、(ジャグラー以外の)パチスロユーザーのメイン層である30代~40代ぐらいを主眼に入れると、このすばの方がリゼロよりもパチスロ向きな版権とも言えるのではないかと思います。
どちらかと言えば男性ファンが多いとは思いますが、両作ともに女性のファンも結構いますので、ちょうどパチスロユーザーの男女比ぐらいのバランスかも知れませんね。
PV
「パチスロこの素晴らしい世界に祝福を!」実践の感想
サミー機種の要素が色々と取り入れられている
例えばお風呂ゾーンはエウレカ3のあれ、AT中の見せ方には化物語的な雰囲気を感じたり、そういったサミー機種的なニュアンスが散りばめられています。
個人的な予想では恐らく化物語の開発チームと近い陣営が作っているのではないかとの印象なんですが、実際はどうなんでしょうね?
まだそれほど打ち込んでいないため細かな所で気づいていない所もまだまだあるんじゃないかと思いますが、ゲームデザインはかなり練り込まれている印象です。
無駄ヒキ感が少なく、自力感が強い
本機は通常時にしろAT中にしろ、とにかく液晶両サイドに表示されている6キャラクターに対応した小役のヒキがモノを言うシステムです。
キャラ役を引く事によってレベルを上げる作業を行い、それによってジャッジ・・・この流れは最近のサミー系機種だと何が近いでしょうか。
短い周期でチャンスが断続的に訪れるので飽きづらいですし、しかもこのキャラ役で上げたレベルはどこまでも価値が継続するので、無駄ヒキ感が非常に少ないのです。
例えば上のボーナス(AT)待機中画面を見ても分かるように、通常時で獲得した各キャラのレベルは維持され、これがAT中の抽選でも活用される仕様は非常に良いですね。
言葉で説明しても分かりづらい事この上ないですが、打っていると感心することしきりです。
そしてキャラ役のヒキがモノを言うシステムである以上、当然そこでの自力感というものが本機の大きな魅力となっています。
自力感については、あまりにも強すぎると打ち手にとって大きなストレスとなってしまうので一長一短な面もあるのですが、本機はチャンスが短い間隔で断続的に訪れる事もあって、程よい自力感を楽しめるぐらいの塩梅に仕上がっていると感じました。
パチスロにおける永遠の課題とも言える「無駄ヒキ感と自力感のバランス」という点で、本機は非常に優れた台と言えるでしょう。
そこそこ出玉感もある
自分が出せたから言うわけではないのですが、有利区間完走もそれなりに現実的な台だと思います。
当然そこはATの突入確率やら平均出玉との兼ね合いなので、有利区間完走しやすい事が必ずしも正義ではないんですが、自分が今の所打っている感触としては、ものすごくショボい出玉で終わる事も多いものの、ATへのハードルがそれほど高くはないので、ギリギリ許容できるかな?という感触があります。
一方で跳ねた時の出玉についても、イチかバチかというような仕様ではないものの、それなりに現実的な頻度で完走するだろうなと思えるぐらいの印象は今の所あります。
今後打ち込んでいく中で変化してくるかも知れませんが、今のところは出玉性能のバランス感覚は良いと感じています。
パチスロのスケベ演出との親和性が極めて高い
パチスロ演出では得てしてスケベ演出というか、ちょいエロな演出が多く採用されます。
アニメ版権では作品によってはちょっとヒヤヒヤするというか、ファンが怒り出しかねないなと感じるものも多く、スケベ演出と版権の親和性が高くないケースも散見されます。
その点このすばは親和性抜群、むしろスケベ演出のためにある版権とすら言い切って良い(言い過ぎ)です。
一応誤解のないように言っておきますが、別に始終スケベなアニメという事ではありませんよ?
そうではないんですが、作中での描写なんかも含めて、こういったスケベ演出に対して非常に寛容な作品である事は確かです。
その点で言えば、例えばパチスロリゼロにおける「ゼロからっしゅ」なんかは、リゼロという作品の雰囲気から言えばかなりピントのズレた演出だったので、あれに不満を感じるファンは実際多くいると思います。
その点パチスロこのすばの演出は、それこそアニメこのすばの持つスケベ要素を(多少の誇張はあるものの)概ねそのまま表現しているような塩梅なので、アニメこのすばファンから見ても十分に許容範囲でしょう。
つまり、アニメこのすばという版権は、スケベ演出を使いたいパチスロ版権という視点から見ると、非常に親和性の高いコンテンツと言えるのです。
1周期目にチャンスがあるのも良い
6号機パチスロ最大の問題点でもある即ヤメ問題。
それを解消しようとする試みが最近の6号機では多く採用されています。
本機も1周期目は6人目がエリスになり、エリスからのスティール成功は直ボーナス(AT)という恩恵があるため、攻略誌の情報によるとエリス消化まで打てば機械割が100%を超えるとの事。
個人的には恐らく、最初のお風呂ゾーンでのポイント獲得具合によって押し引きを判断するのが良いと思いますが、何れにしても即ヤメしなくて良い理由付けが出来るだけでも悪くない仕様だと思います。
地味に嬉しいペナルティなし
本機はナビなし時は全リールフリー打ちで良いとの事。
沖ドキ!DUOを打っていると、たまに中から押してしまう事があって、あのペナルティという存在に5号機の面影を感じたりもしないでもないのですが、個人的にはやはりペナルティは無い方が良いです。
さらに本機は、中押しバー狙いで成立役を見抜けるという事もあるので、変則押しで楽しめる要素もちゃんと付けてくれているのは有難い。
無暗にテンションの高い開発者
パチスロこのすばの公式ページを覗いてみたら、KPEやっていたアレ的なものとして開発者が台について教えてくれる系のブログ?「アクシズ教団サミー支部」というものがありました。
色々と面白い情報が載っていますし、開発者として登場している「開発員七号」さんも無暗にテンションが高い?いや、高いのかどうかは良く分からないものの本機やアニメこのすばへの熱量は伝わって来ます。
ちなみに開発は5年ほど前から行っていたとの事、ふむふむ、たしかにそんな感じはありますね。
クレジット表記を見ても分かるように、本機の版元はアニメ1期だけですよね多分。
ゆんゆんがいるのでアレ?と思ったものの、そういえば実質的には1期の延長戦のような使いだったOVAで登場していましたね。
アニメ一期がヒット&2期製作決定という流れのなかでパチスロ化というものも同時に動き出したという感じだったんでしょう。
こういった貴重な情報も知る事が出来る&打つ上で役に立つ情報も得られるのでオススメです。
しかし一つ苦言を呈させて頂くとすれば、非常に手作り感あふれるページとなっている結果、非常に使いづらいw
せめてブログカード方式を取るなどして貰いたい所(記事本文を更新順に並べているので、一覧性が極めて悪い昔のブログ感)。
せめてサイドバーをつけるなりして欲しいなぁと思ったりします。
内容は楽しいので、今後も期待してます。
この意外性が「このすば」らしい?
本機について、実はそれほど注目していなかったものですから(本機というか、最近は新機種全般について疎い)、打ってみた感想としては「意外と面白い!」というものでした。
この感想は、実はアニメこのすばを見た時の感想とも重なるもので、アニメこのすばも何の気なしに見てみたら意外と面白い・・・そんな感触の作品でした。
そういった意味では、あまり「すごく面白いよ!」といってハードルを上げる事は得策ではないのかも知れませんが、とは言え埋もれさせるのはあまりに勿体ない機種であるのも確か。
というわけで、本機は意外にすごく面白いので、まだ打ったことのない方は機会があればお試しあれ。
©2016 暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/このすば製作委員会
©Sammy